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味工房の調味料づくり

 私がここ15年程で1つずつ、少しずつ作ってきたレシピの調味料が約30種類になりました。調味料作りを始めたのは、本業の飲料水の見通しが悪かったこと、昭和38年より私の父、先代の潤七郎が近隣のお好み焼、タコ焼店で使う業務用のソースを作っていたこと、又、私が家業を続けるためには何か飲料に代わる食品を製造したいと思ったということがあります。
 18年ほど前に地元生協のブランドのソースとして当社のお好みソースが採用され、その後生協での生鮮野菜使用、化学調味料を使用しないウスターソースの開発、発売につながりました。
 しかし大手企業の占有するウスターソースの市場で、しかも当社の様な零細企業が原材料費と手間ひまをかけた原価の高い(売価は市場価格よりやや高め)の商品は地元でもっとも販売力の有る生協でも売上は伸びずその後販売中止となってしまいました。このことで零細な企業が努力して、良い商品を作っても消費者にはなかなか評価してもらえないという厳しい現実を知らされました。

 一方、この様な時期に近くで造り酒屋を営む私の大学の先輩で釣友でもある(株)森田酒造場の森田社長が全国から自分の好みで集めた食材を売る店「平翠軒」を始められました。森田社長からそこで売るポン酢を作ってみないかとの話が有りました。倉敷の美観地区の中でその様な店をなぜ始めるのか?調味料等が売れるのか?私には全くわかりませんでしたが、原価はいくらかかっても、兎に角どこよりもおいしいものを作ってくれという言葉にさそわれて、勉強のためと思い10リットルの寸胴鍋で試作を始めました。この時点で私は、飲料水、ソース以外の新しい商品の開発の経験もなく手探りの開発でしたが、おいしいものを作るためのもっとも恵まれた条件、即ち、原価はいくらかかっても良いという条件の下で何とか納得できる味のものが出来ました。そして、しばらくはこの10リットルの寸胴鍋で360ml×22本を本業の仕事が終わった後、女房と二人で夜なべ(鍋)ポン酢だと言いながら続けることになりました。

 平翠軒は私の想像をはるかに越えたお店でした。そこでは私の作った高価なポン酢、焼肉のたれをおいしいと評価して買ってくださるお客様が有ったのです。このときの商品開発のスタイルがその後の全ての商品の開発の基本となっています。

 美味しいものを作るにはまず第一に優れた素材を使うこと、そしてそれらが持つ甘さ、酸っぱさ、辛さ、にがさ等のバランスを良くすることです。これは、それぞれが自然の物である為に実際にはなかなか難しいことです。この点で化学調味料は大変便利なものです。味のバランスが多少悪くても、例えばかなり塩からいものでも、それを少々入れればほとんど塩かどが取れ、あと口には旨みが残ります。このことは化学調味料は何でもおいしくしてしまうという反面、自然の素材の持つ本当の甘み、酸味、辛み、苦味等を消してしまうという事でもあります。せっかく自然の優れた高価な素材を使用しても、最後に化学調味料を入れれば味の点で無駄になってしまうのです。

 私は化学調味料を悪いもの、不要なものとは考えていませんが、自然の味を大切にする味づくりの為には出来るだけ使用しないよう努めてきました。これからも自然の恵みを大切に、出来るだけ余計なものを加えず、そのままの形で皆様にはお届け出来る様努力したいと思います。

倉敷鉱泉株式会社
取締役会長 石原信義

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